<RPAに関する実態調査>

調査結果③:長期的に成果を上げ続けるためには社内人材育成が必須

●導入にあたっての方針、半数以上は「内製化」を視野に

RPA導入にあたっての御社の方針に当てはまるものはどちらですか

RPA導入にあたっての方針としては「コストを最低限に抑えて、人材育成も鑑み内製化したい」という回答が33.5%、次いで「多少の投資をした上で、人材育成も鑑み内製化したい」が24.0%と、半数以上が導入後自社内で運用していきたいと回答しました。またコストについては7割がなるべく抑えたいという回答でした。

●RPA導入後、顕著に表れる課題は「人材問題」

RPA運用に伴う課題を尋ねたところ、一番多かったのが「人材・組織体制が不十分」が49.0%。続いて「期待していたほどの効果が出ない/投資対効果がわからない」が40.5%、「不具合・問題が起きた時にどう対処したらいいかわからない」が39.5%という回答がありました。

組織・人材面の課題をさらに深掘りすると、「導入後に運用・メンテナンスできる人材がいない/足りていない」が半数以上、「IT/情シス部のリソースが足りない」が46.5%を占めています。

これらの結果から、多くの企業が導入後も課題を持っており、その中でも人材・組織体制に関して悩みを抱えていることがわかりました。方針としてRPAの導入に伴う費用は抑えたい、内製化したいとしつつも、現実問題として導入後運用できる人材が不足している、問題発生時の対処ができないなど、社内で継続的に効果を生みだすための人材と知識が不足している実態が浮き彫りになっています。

●意向と実態の間に大きなギャップも

「今抱えている課題解消のためにどんな対策を取っているか」という問いに対し、「社内のIT/情報システム部と協業する」という回答が45.5%あるものの、そのうちの約70%は「IT/情報システム部のリソースが足りない」ことが課題であると回答しており、根本的な課題解決に至っていないということもわかります。

反対に、「多少の投資をした上で、人材育成も鑑み内製化したい」という方針を持つ企業のうち、半数以上はSIerやコンサルタントなどの外部専門家を活用しており、「多少の投資をした上で、外部に導入だけ委託したい」という方針を持つ企業の42%は、有料のeラーニングやセミナーなどを活用し、自身で学習しているという結果が出ました。

●RPA導入で成功を掴むための必須条件、社内人材育成

長期的に見た場合、「内製化」は非常に重要なキーワードであり、継続的に社内で運用が可能な人材育成とナレッジの蓄積・共有が必須となってきます。今回の調査からも、各企業その重要性を理解しつつも「人がいない」という現実問題に頭を悩ませていることがわかります。RPAを扱える人材は市場の成長に反比例して不足している状況が続いているため、外部の専門家を部分的にうまく使いながら社内でその人材を育成していくことが望ましいでしょう。
もう一つ人材の点で重要なのは、RPA運用は必ずしもIT/情シス部門が継続的にリードしていくものではないという事です。自動化する業務を一番理解しているそれぞれの部門の担当者が、エラーが起きた時に対応できる、自動化対象の業務範囲を拡大できるようになる、という事が非常に大事なのです。そのため「IT/情シス部門に任せる」のではなく、RPAを運用する各部門の現場担当者が、RPAのエキスパートになっていくことが必要不可欠です。

ツールによっては「エンドユーザーコンピューティング」を指向し、エクセルのように誰でも使えるRPAを目指して無料のオンライントレーニング環境を整備しているものもあります。それら教材の補完として、事例学習や実践を交えたワークショップ形式の講座もオンサイトで開催されています。またユーザー同士で使い方の質問や事例の情報交換ができるオンラインコミュニティもありますし、ツールベンダーが招集するカンファレンスやフォーラムなども多く開催されています。こういったものを最大限活用して社内運用人材を育てていく事も、小さな投資で大きな成功を得るためのカギとなるでしょう。

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  • 【調査実施概要】
  • 「RPAに関する調査」
  • ・調査方法  :インターネットアンケート
  • ・調査実施機関:楽天リサーチ株式会社
  • ・調査実施期間:2018年6月22日(金)~2018年6月25日(月)
  • ・対象地域  :全国
  • ・対象者   :自社でRPAを導入済み/導入予定のユーザー200名